9.かみなり
あの夜、君は僕の腕の中で呟いたっけ――
『私達、このままひとつになれたらいいね』
君は、こうなる事を知っていたのかい?
先程まで僕の行く先を照らしていた稲光は、此処には届かない。
届くのは、耳鳴りのように続く絶え間ない雨音。
そして、その合間に轟く――あの夜と同じ、切り裂くような雷鳴。
雷光が、天が人の罪を照らし出す光というのならば、
雷鳴が、神が人を断罪する音というのならば、
断罪されるのは、此処にいた妖怪達?あの村の人々?
それとも――
『私達、このままひとつになれたらいいね』
君は、こうなる事を知っていたんだね。
なれたら、という願望の言葉の裏には、なれる筈がないという絶望があった。
あの夜閨を照らした閃光は、天から見ていた神の警告。
同腹の姉弟という間柄で求め合ってしまった僕達の罪を、暴く光。
雷光が、天が人の罪を照らし出す光というのならば、
雷鳴が、神が人を断罪する音というのならば、
どうか神様、僕を、殺して――
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あとがき
いきなりの黒背景ですみません。
百眼魔王の城で、自害した花喃姉様を前にした悟能の叫び。
花喃姉様サイドの話が原作で語られないか、密かに期待。 |
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