56.踏切
1.悟空の場合
あ、ここの踏切、ヤな感じする。
あ゛ー、う゛ー、どーしよっかなー・・・
・・・やっぱ他の道行こ。前みたいに『引っ張られ』て三蔵に迷惑掛けちゃいけないし。
2.八戒の場合
あ、ここの踏切、最近誰かが飛び込んだようですね。
あー・・・しかもまだ『居座っ』ちゃって・・・自殺したもんだから、上手く成仏出来てないんですね。
しかも手向けてもらってる花も、お気に召さないようで。
仕方ありませんね。三蔵に来てもらって、その時にはいいお酒を持って来ましょうか。
出来ればそれまで、大人しくしていて下さいね。
3.悟浄の場合
・・・あれ?
なーんか、肩が重い、かも?
肩凝り?でもさっき踏切渡った辺りからだよな。急に何でまた?
おー、皆、珍しく揃ってんじゃん。
ってうぉわっ!?何三ちゃんハリセン出してんの、俺ナンかした!?
祓ってやるって一体何の事だってばー!!
4.三蔵の場合
・・・・・・チッ、またか。
踏切の飛び込み自殺ってのはな、この世で最も大勢の人間に迷惑の掛かる死に方なんだよ。
しかも『上がれない』ことも多くて、通行人が霊障を受けることもある。
猿みてぇに霊的感受性の強い人間だと、引きずられてしまうことだってあるわけだ。
河童なんざ全く『見えない』くせに人一倍憑かれやすいわ霊障を受けやすいわとくるから、たまったもんじゃねぇ。
その度に振り回されるこっちの身にもなりやがれ。
「・・・おら、逝ったぞ。取り敢えずその杯だけ置いとけ。瓶は持って帰るぞ」
「残り、飲むおつもりですか?」
「成仏したら何も残らねぇのに、ンな上等な日本酒丸々一本棄てる義理はねぇ」
「・・・いるんですよねぇ、本人の性格がどれだけ破綻してようと、神々しいオーラを醸し出している人」
「煩ぇ」
「僕は霊の残留思念は感じ取れますが、霊そのものへの影響というのは全くですから」
「俺引きずられたっつったって、小学生ぐらいの話じゃん。最近はちゃんと避けてるから迷惑掛けてねーだろ?
・・・悟浄がいれば霊障受けてくれるから避けなくても大丈夫だけどさ」
「いや避けろよ!つか教えろよ!俺一体何なのよ!?」
「「「幽霊ホイホイ?」」」
「即答かよ!!」
|
あとがき
桃源郷に列車・電車がある記述は原作にないので、一応パラレルということで。
4人の中では悟空が一番霊的感受性が高いようですが、その分本能的に察知出来るので、危機回避も可能。
霊障を受けやすいくせに鈍感で、『いる』事に気付けないのが、悟浄(小説3巻より)。
八戒は『見える』けど自分自身は影響を受けにくい、得な体質。
で、三蔵はその点腐っても坊主なので、祓うことも可――ハリセンで。
それはそうと。
1本通過した後反対側から来る予定の電車の為に、延々10分以上閉まりっ放しのJRの踏切。
何とかして下さい。 |
読んだらぽちっと↑
貴女のクリックが創作の励みになります。 |