93.Stand by me
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ・・・
「・・・如何です?」
「38.3℃。高熱に伴う頭痛と倦怠感、時折咳き込みがあって喉は真っ赤。
完璧に風邪ですね」
「計都は?伝染ってねぇ?」
「有り難うございます。私は今のところ問題ありませんわ」
「具合がおかしけりゃすぐ言いなよ。この俺が手厚〜く看護してやっから♪」
「それは遠慮申し上げます」
「・・・即答デスカ」
「悟浄だっせー」
「こんの・・・」
「はいはい、病人の傍で騒がないで下さい。取り敢えず薬を飲んで安静にさせないといけませんからね」
「では私は薬湯を作って参りますので、悟空さんはリンゴを摩り下ろしていただけます?
それと悟浄さんは汗を拭くタオルをお願いしますわ。
八戒さん、玄奘様のお召し物を・・・」
各自に指示を出しながら、自らも役割を全うするべく台所へと向かおうとした時、
「――計都」
やや掠れ気味の声で、しかしはっきりと計都の名を呼ぶ三蔵。
「玄奘様?如何なさいました?」
「貴方喉がやられているんですから、無理に声を出さない方がいいですよ」
「――ここにいろ。俺の・・・傍に――」
「・・・・・・・・・」
たっぷり10秒程固まっていたかと思うと、音を立てそうな勢いで計都は顔を赤く染めた。
数日後、三蔵の容態は回復した。
ただ残念な事に、計都に掛けた言葉については、熱に浮かされてのことか本人は覚えていなかった。
それでも構わないと計都は考える。
嘘偽りのない三蔵の本心であるあの言葉は、自分の胸に刻み込まれているのだから――
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あとがき
映画を見ていないものだから直訳の意味重視で書いてみました(汗)。
それにしても、ここまでならなきゃ自分の気持ちを言葉にしない朴念仁なんか好きになっちゃった計都が可哀想。
でも計都自身超の付く晩熟なので、どっちもどっちなんでしょう。
今後も周りのサポートが必要になるかと思います。 |
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