カチャ 「あれ・・・?」 「どうしたんですか悟浄、お箸取り落としてますよ?」 「箸持てないのかよ?だっせー」 「バカ言うんじゃねーよ猿。・・・いや、何か右手の感覚がおかしくって・・・」 そう言って、右手を握ったり開いたりする。 「感覚?」 「んー、だるいっつーか重痛いっつーか、何かヘン」 ガタンッ 「それって脳梗塞の前兆ですよ!」 「へ?」 「何が濃厚なの、八戒?」 「濃厚、じゃなくて脳梗塞です。脳の血管が詰まって身体に障害を及ぼす恐ろしい病なんですよ。詰まった場所が悪ければ即死、なんてことも・・・」 「おいおい、そんな大げさな・・・」 「大げさじゃありませんよ。脳梗塞の原因は不規則な生活と過度の飲酒と偏った食事、そして何より喫煙なんですよ?見事に全部当て嵌まるじゃありませんか!」 「お、おい・・・」 「このまま放っておけば手遅れになりかねません。計画実行です!」 「へ?」 「名付けて『三蔵一行生活改善計画』!!(きらーん) 食事は野菜中心、お酒のつまみは野菜スティック、夜更かし厳禁、休肝日は週三回、そして何より禁煙!」 「・・・ちょっと待て、ひょっとして・・・」 「悟浄だけに徹底させようとしても難しいですし、常日頃から額に青筋立てている貴方の方が脳の血管がイッちゃう可能性が高いんですよ?というわけで全員がこれを守るようにしましょう!」 「八戒!」 「俺はいーよ?酒飲まないし、タバコ吸わないし、八宝菜とか好きだし」 「・・・(ふるふる)・・・それもこれも貴様の所為だ、とっとと脳梗塞でも脳卒中でもなって死にやがれ!!!」 「その前に銃殺になるだろーがっ!」 「――でさあ八戒」 「何ですか、悟空?」 「本当に悟浄って『のーこーそく』で死ぬの?」 「うーん・・・悟空、昨日は悟浄と同じ部屋だったんですよね?何かいつもと違った事はありませんでしたか?」 「昨日?えっと、夜中にTVでアクション映画やってたの見てて・・・あ、終わって悟浄の方見たらTV見てた格好のまま寝ちゃってた――こう、右肘をついて右手で頭を支えた状態で」 「――成る程、それが原因ですね・・・大丈夫ですよ、悟空。脳梗塞ではありませんから。でもまあ、皆の健康の事を考えれば、しばらくは節制生活もいいでしょう(くす)」 「うん解った」 結局禁煙に耐えられなくなった悟浄が、八戒に事の真相を聞いたのは、朝食から僅か半日のことでしたとさ。 どっとはらい。 |
あとがき 右手に力が入りません。しびれてはいないんですけど、如何したもんでしょうか(んなこと聞かれても)。 取り敢えず八つ当たりの矛先は悟浄へ(またですか)。 ちなみに三蔵は、悟浄の喫煙解禁を確認してから自分も吸い始めます。勝手に禁煙を中止したら誰かさんが怖いので(笑)。 |
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