昨日は悟空の誕生日祝いと称して普段より豪華な食事とケーキが用意され、その間に そして翌朝―― 「はよーっす」 「お早うございます、といってももう9時ですけどね」 「悟空は?」 「外で草むしりを手伝ってくれてます。昨日結構飲んでましたけど、二日酔いは大丈夫ですか?」 「ん、平気」 俺より飲んでた奴に二日酔いの心配される日が来るとは思わなかったぜ。 「・・・三蔵サマは?」 「流石に拙いですから、早い時間帯に寺院に送っていきました」 ほっと一安心する。 実際のところ、ジープで寺院へ行き、見張りの目を盗んで三蔵を連れ出したのはこの俺だ。下手すりゃ起き抜けから銃弾の雨を浴びるかも知れねぇなんて覚悟もちょっぴりしていたのだが。 「大丈夫ですよ。丁度息抜きをしたかったみたいですから」 にっこり微笑みながら言う八戒だが、半分は嘘だ。 三蔵を連れ出すにあたって、八戒から三蔵に見せるよう手紙(どうせなら八戒が寺院に行けば良かったのだが、料理を俺と悟空に任せる気にはならなかったらしい)を渡されていたのだが。 俺を射殺しそうな眼で睨みながらそれを受け取った三蔵サマが、その手紙に眼を通した途端、見る見る顔が青褪めていったのだ。 読み終わった後も封筒の封を何度も確かめ、俺に手紙の内容を読んじゃいねぇだろうな、とかなり凄まれた。 俺が手紙の内容を知らないと判ると後は黙りこくって、部屋を出る時(もちろん窓からだ)もジープの中でも口を開くことはなかった。 「八戒サン・・・あの手紙に何て書いたの?」 聞きたくない気もするが、相当気になる。 思わず口を突いて出た俺の質問に、返ってきたのは完璧な笑み。 「悟浄、好奇心猫を殺すって、知ってます?」 「すみませんごめんなさい俺が悪かったです何も聞いてません聞きません」 ・・・三蔵サマと俺、どっちが可哀相なんだろう。 そんな考えを最後に、俺はこの話を記憶の底に封印した。 どっとはらい。 |
あとがき やっぱ悟浄はこのくらい情けないのが良いですね! これで、ごく誕に三蔵が参加したことも明らかに出来ました。 八戒が三蔵宛てに書いた手紙の内容は、詳しくは考えていません。でもオフィシャルブック『最遊人』より、それなりの秘密(しかも袋とじにしなければならないような)を握っていることは間違いないようです。最高僧を脅迫して良いのか八戒・・・ |
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