27.電光掲示板 「あ」 「なあなあ三蔵っ、今計都の名前が見えたっ」 「・・・何処に、だ。相手に伝えたいことがあるならきちんと言え」 「えっと、正面のビルの電光掲示板に、よく分かんねぇけど英単語と一緒に『Kate』って」 一生懸命説明しようとする悟空の言葉通り、通りの正面、幹線道路の下り車線に面して建てられているビルの一部分が電光掲示板になっていて、下から上へと文字が流れていく(もちろんそうみえるように電球が点滅を繰り返しているだけだが)。 「あ、ほら、もうすぐ!」 大体こういったものは、ある程度の時間が経過すれば再度同じ情報が流れるようになっている。 どうやら正面のビルは書店とCD/DVDショップになっているらしく、電光掲示板の内容は本やCD、DVDの売り上げランキングのようだ。 果たして悟空の言った通りの文字が流れた。 『クラシックCD・・・1位 「Celestial blue」 Kate』 「・・・・・・」 「なーさんぞー、『blue』は解るけど、その前の単語って何て読むんだ?」 「『天空の蒼』・・・か」 彼女が決して手に入れることの出来ないその色の名を、そっと呟く。 彼女が紡ぐ音は、魂の調べ。 自らの持ち得ない『色』を、その音に乗せる。 まさに、天上の 「今日は早めに切り上げる。帰ったら祝賀の準備だ」 「え、ホント?じゃあじっちゃんに電話して御馳走用意するよう頼んどく!」 三蔵の言葉で、英単語の事など頭から吹っ飛んだのだろう。 祖父である執事長に連絡するべく、嬉々として携帯電話を取り出した。 |
あとがき 金曜朝の出勤風景三蔵&悟空side。八戒さんsideはこちら。 こーゆー現代にしかない(と思われる)題材出されると、パラレル持って来るしかないんですよね。 とかボヤきながら、でもこっちのKateも好きだったり。 親心の為せる技(笑)。 ちなみに、この時点で計都は花嫁修業も兼ねて、既に三蔵家に住んでます。もちろん三蔵と部屋は別(笑)。 |
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