Shinning sun and brilliant moon







 天界――数多の神仏・天人の住まう場所。
 とある宮殿の最奥――ごく限られた者しか足を踏み入れない一画に『彼』はいる。
 『いる』というのは正しくないのかも知れない。
 何も見ず、何も聞かず、何も話さず――まるで人形のように只、そこに『在る』。
 500年もの長きに亘り――








 ヒタ、ヒタと軽やかな足音と共に、

「――よっ」

 『彼』に近付いた人物が、気さくに話し掛ける。
 返事の無い事など、意に介さない。

「いいこと教えてやる。『奴等』が地上で生を受けたぞ」
「―――」
「『奴等』が成人する頃には地上に再び混沌が訪れる。500年前からの因果の歯車が回り始めるんだ」
「―――」
「『降りる』か?『あいつ』に逢えるぞ・・・」
「―――」
「『あいつ』はまだ生きている。あの牢に入る前に、全ての記憶を封じられて・・・まぁ尤も、あの軽そうな脳ミソじゃ、ンなことしなくてもお前のことなんか忘れているだろうがな」
「―――」
「というのはジョーダンだがな。けど――気になるんじゃねぇのか?」
「―――」
「行って来い。行って・・・ケリつけて来い――」
「―――」

 その時。
 それまで何の反応もなかった『彼』の胸元が光りだした。
 それは、冴え渡る満月を思わせる、青みを帯びた白銀の光――
 『彼』に話し掛けていた人物の目の前で、それは手のひらくらいの球状になる。
 光の玉は、『彼』の胸元から離れ、向かい合う人物の胸元に近付く。
 『持ってくれ』と言わんばかりに――

「・・・判った。『降ろして』やるよ。俺に任せろ」

 光の玉を受け止め、目の前にいる、今となっては抜け殻となった人物の額に軽く口付ける。

「この俺に、不可能はないからな・・・」

 そう言って、光の玉を片手にその場を離れ、回廊への扉を開けた。
 500年の因果律を成立させるために――







ついに始めてしまいました、当サイトのメインとなる話です。
オリジナルのアレとかアレとかアレが出てきて、最終的には三蔵×オリキャラを目指すという、
異端としか言いようのない代物です。
これだけ特殊な傾向の話が他の方々に受け入れられるかどうかかなり不安ですが、
取り敢えず我がサイバードーターが幸せになる事を願い、書き進めて行きたいと思います。
どうか暖かく見守って下さいませ。







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